■テーマ
いま安楽死と尊厳死について考える
■概要
2024年の在宅医療カレッジ札幌は7月20日(土曜日)、テーマは「安楽死と尊厳死」です。
キープレゼンターに、安楽死容認国の現状を発信し続ける国際ジャーナリストの宮下洋一さんをお迎えし、エンドオブライフケア、臨床倫理・人権擁護のそれぞれの分野のプロフェッショナルをパネリストにお迎えします。
NHKのセンセーショナルな番組とその影響に、大きな危機感を感じている人も多いと思います。
一方で、安楽死の推進を公約に掲げる政党・政治団体も現れています。
これは、これまで行われてきた「尊厳死」の議論とは少し色合いが異なるものであると感じています。
日本では、社会保障費の増大を背景に、高齢者(社会保障の主たる利用者)と現役世代(主たる費用負担者)の間で世代間対立をあおるような論調が増えてきています。
以前から高齢者救急あるいは障害者支援に対して無意味な延命(あるいは支援)である、線引きが必要である、という論調はありましたが、最近ではその延長線上で安楽死が語られるようにもなってきています。
社会的同調圧力の強い日本では、欧米とは異なり、自己決定に基づく選択はおそらく難しいだろうと思いますし、そもそも信頼して相談できる家庭医がいない、社会的支援も含め十分な緩和ケアが提供できていない、ACPに対する認識すら不十分な状況で、そもそも死をもってしか緩和できない苦痛など判断ができないのではないかとも思います。
安楽死については議論を進める前に、まずはそれが許容されている国々の社会背景も含めてある程度理解する必要があると思いますし、その議論を通じて自己決定(意志決定支援)や緩和ケアの重要性を認識しておく必要もあるのではないかと思います。
このあたりをシンポジウムを通じて、医療介護専門職および一般市民の方々も交えて考えることができればと思っています。
■登壇者
【キープレゼンター】
宮下 洋一(国際ジャーナリスト)
1976年長野県生まれ。ウエスト・バージニア州立大学卒。
バルセロナ大学大学院で国際論修士、ジャーナリズム修士。
フランスとスペインを拠点としながら世界各地を取材。
主な著書
小学館:『卵子探しています――世界の不妊・生殖医療現場を訪ねて』(ノンフィクション大賞優秀賞)
講談社:『安楽死を遂げるまで』(ノンフィクション賞)
小学館:『安楽死を遂げた日本人』
PHP新書:『ルポ 外国人ぎらい』
【パネリスト】
長岡 健太郎(弁護士法人青空 尼崎あおぞら法律事務所/弁護士)
日本弁護士連合会人権擁護委員会障がいのある人に対する差別を禁止する法律に関する特別部会委員。
和歌山弁護士会高齢者・障害者支援センター運営委員会副委員長。
障害者自立支援法違憲訴訟和歌山弁護団事務局長。
障害と人権全国弁護士ネット会員。
介護保障を考える弁護士と障害者の会全国ネット会員。
【パネリスト】
千田 恵子(エンドオブライフ・ケア協会 業務執行理事)
生まれてから最期を迎えるまで、そしてその後も、大切な存在と認め合える社会を目指し、小澤竹俊とともに2015年法人設立。
尊厳を守り最期まで関われる人材の育成と、子どもの頃からの教育を通して自他をケアし合えるコミュニティの醸成に全国で取り組む。
上智大学在学中、英語を母語としない子どもの学習支援が教育活動の原点。
卒業後、企業で人材育成・新規事業開発・インド展開支援等、人が活きる仕組みづくりに従事するなか、父が難病ALSにて他界、3ヵ月後に母も旅立つ。
自分が生きる意味を考えはじめたとき、このテーマを必要とする人へ届ける仕組みを必要としていた小澤と出逢う。
これまで起きたすべてのことが今につながる想いで活動している。
【モデレーター】
佐々木 淳(医療法人社団悠翔会 理事長・医師)
筑波大学医学専門学群を卒業後、三井記念病院内科・消化器内科、東京大学医学部附属病院消化器内科等を経て、2006年に当時まだ数少なかった24時間対応の在宅総合診療を行う診療所を開設。
以来、在宅医療をリードする存在となる。
2008年に医療法人社団悠翔会として法人化し現職。
現在、首都圏および沖縄県に18の診療拠点を展開。
主な著書
医学書院:『在宅医療カレッジ 地域共生社会を支える多職種の学び21講』
池田書店:『現場で役立つよくわかる訪問看護 アセスメントとケアに自信がつく!』
飛鳥新社:『在宅医療のエキスパートが教える 年をとったら食べなさい』
日本医療企画:『Re:CAREポストコロナ時代の新たなケアのカタチ』
■主催
メディカルインフォマティクス株式会社