■テーマ
ラウンドテーブルディスカッション
2035年の在宅医療
■概要
社会の変化は指数関数的に加速しています。
10年後には最大の人口集団である団塊の世代がすべて85歳以上に。要介護認定者は1000万人に迫る一方、社会保障財源や専門人材の不足は深刻さを増していきます。
一方、テクノロジーも急速に進化、医療の形そのものが大きく変化する可能性もあります。
まもなく2025年を迎えますが「本当の正念場」は2035年。
それに向けて、私たちはどうあるべきなのでしょうか。
留意すべき点はいくつかあります。
●超高齢化の意味は地域によって異なる。
東京・大阪・名古屋都市圏では高齢者の絶対数が増加するのに対し、地方では人口減少により高齢化率は上昇するも高齢者数は減少する。都市部では医療介護サービスが不足するのに対し、地方ではこれらのサービスを維持することが困難になるかもしれない。
●在宅医療の真のミッションは何なのか。
慢性期・安定期は手厚く在宅医療を提供しつつ、急性期・不安定期は病院に送る。結果として、多くの患者は入院関連機能障害で衰弱するか病院で亡くなる。これは患者のニーズに応えているといえるのか。在宅「医療」の在り方はこのままでよいのか。
●限られた人材で地域を支えなければならない。
いずれの地域も医療資源は限られる。社会保障財源も逼迫する。それぞれの専門性とコストパフォーマンスを踏まえた上で、多職種の合理的な役割分担はどうあるべきか。専門職種の機能不全や不在をカバーするためにはどうすればよいのか。
●医師と患者の関係が大きく変化するかもしれない。
現在の在宅患者の多くは「与えられる医療」に慣れた、いわばパターナリズム世代。一方、段階の世代は自己決定世代。医療情報へのアクセスが容易になり、情報の非対称性が小さくなる中、医師と患者の関係はどう変化していくのか。
●「医療」の概念そのものが変わるかもしれない。
スマホアプリを使いこなす団塊世代が期待する在宅医療は、訪問診療ではなくオンライン診療かもしれない。遠隔モニタリングが容易になれば、心不全や肺炎も安全に在宅で治療できるようになるかもしれない。新しい技術をどう活用するのか。
今回は、さまざまな地域でそれぞれ在宅医(院長)として活躍する5人の医師、訪問看護師・在宅医療機関の医療ソーシャルワーカー、いずれも30代の7人のパネリストによるディスカッションを企画しました。
7人のパネリストがまさに地域医療の中核となる2035年、それぞれの地域で医療・ケアに対するニーズはどう変化していくのか、地域の第一線で活躍する彼ら自身のパースペクティブとこれから私たちに求められる具体的なアクションを共有したいと思います。
またラウンドテーブルディスカッションに先立ち、医療法人社団悠翔会の業績報告会および中期経営計画発表会を行います。
首都圏から離島まで常時9000人に対して24時間の在宅総合診療を提供する悠翔会の在宅医療に対する課題意識および次の3年間のチャレンジについてみなさんと共有させていただければと思っています。
■登壇者
●岡本淳一/とぅもーる診療所(石垣市)院長
●椎名美貴/悠翔会訪問看護ST東京(港区)管理者
●熊谷祐紀/悠翔会ホームクリニック知多武豊(武豊町)院長
●田中顕道/くらしケアクリニック城東(江東区)院長
●西信俊宏/在宅診療敬二郎クリニック(高松市)院長
●平田明日香/悠翔会在宅クリニック品川(品川区)MSW
●渡部寛史/ノビシロクリニック藤沢(藤沢市)院長
●佐々木淳/医療法人社団悠翔会 理事長